「拘束時間」の考え方と前日より出勤時間が早まる場合の注意点

運行管理者の実務

「拘束時間」の考え方と前日より出勤時間が早まる場合の注意点

今回は旅客運行管理者の基本となる「拘束時間」について解説していきます。

【拘束時間に関する基準】
○4週平均で1週間当たり65時間
○貸切バスを運行する営業所において運転の業務に従事する者、貸切バスに乗務する者及び高速バスの運転者については、労使協定があるときは、52週のうち16週間までは、4週平均で1週間当たり71.5時間まで延長可。
○1日原則13時間、最大16時間(15時間超えは1週2回以内)

拘束時間とは?

まず、拘束時間とは一般的一般企業で言う「タイムカードを押して出社し、タイムカードを押して退社まるでの時間」と覚えた方がわかりやすいでしょう。これをバス運転士の実務に置き換えると、「出勤点呼を受けてから、退勤点呼を受けるまでの時間」となります。(事業者によってどの時点で出退勤の判定をするのかは異なりますのであくまで参考です)

拘束時間の限度は?

さて、拘束時間については「4週間を平均した1週間当たりの拘束時間は原則として65時間が限度です」と改善基準で定められています。つまり、1ヶ月あたりの拘束時間は260時間(65時間×4週)が限度というわけです。

ただ、「繁忙期に仕事が回らない」と言うバス事業者の切実な問題もあることから、改善基準では貸切バスを運行する営業所については、「労使協定」が締結されている場合に限り、貸切バスと高速バスに乗務する運転士については52週間のうち16週間までは「4週間を平均した1週間当たりの拘束時間を71.5時間まで延長することができます」との規定も盛り込まれています。

ちなみに、労使協定とは「会社と労働組合が結ぶ書面による協定」のことで、例えば「1週間に65時間を超えて労働してもらうときがあるけど、いいですか?」と言う会社のお願いに対し、労働者(労働組合)が「いいですよ」と容認したことを文章化したものです。

かみ砕いて説明すると、「普通は週平均65時間が限界だけど、労使協定があれば貸切バスと高速バスに乗務する運転士については、1年(52週)のうち4ヶ月(16週)は週平均71.5時間まで延長できる」と言うわけですね。

余談ですが、この「1週あたり65時間、労使協定締結時は71.5時間」と言う基準に関する問題は運行管理者の試験には常連ですので、しっかり覚えることを推奨します。ちなみに労使協定を締結した場合の71.5時間と言う時間の根拠は「65時間の1割増し」ですので覚えるときの参考にしてください。

1日あたりの拘束時間

1日あたりの拘束時間は13時間以内を基本とし、これを延長する場合であっても16時間が限度とされています。また、15時間を超える回数は1週間につき2回が限度とされていますが、配車業務を行う上で一番注意したいのが、前日の出勤時間より早まる場合の拘束時間の計算です。

改善基準告示での拘束時間の計算(出勤が早まる場合2)

一般的な企業やアルバイトの世界だと、月曜日6:00~18:00(12時間拘束)、火曜日5:00~17:00(12時間拘束)と解釈してしまうのですが、改善基準では「出勤時間が前日より早まった場合はその差分が前日の拘束時間に加算される」こととなってます。

そのため、火曜日は月曜日の6:00出勤から1時間早まった5:00出勤ですので、この1時間分が月曜日の拘束時間に加算されるため、月曜日の拘束時間は13時間として扱われます。

お気づきかもしれませんが、この項目を忘れていると「拘束時間が15時間を超えている日が週3日以上あり改善基準に違反していた!」と言うことにもなりかねませんので注意が必要です。

改善基準告示での拘束時間の計算(出勤が早まり違反2)

上図では金曜日の出勤時間が木曜日の8:00出勤より2時間早まっていますので、木曜日の拘束時間は2時間加算した16時間拘束として考えます。そのため、「15時間を超える回数は1週間につき2回が限度」の基準に違反することになります。

また、これに限らず「15時間拘束を超える日が週2回まで」を意識しすぎて「週65時間をオーバーしてしまった!」と言うことにもなりかねませんので、満遍なくチェックすることが大切と言えるでしょう。

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